<思いやりのあるコミュニティ宣言>
 teacup.掲示板は、皆様の権利を守りながら、思いやり、温かみのあるコミュニティづくりを応援します。
 いつもご協力いただきありがとうございます。

投稿者
題名
*内容 入力補助画像・ファイル<IMG>タグが利用可能です。(詳細)
URL
sage

  • [63]
  • 東京新聞へのオリジナル原稿 後半

  • 投稿者:積分定数
  • 投稿日:2020年 7月 7日(火)16時37分56秒
  • 返信
 
「掛け算の順序はどちらでもいい」に対して「答えが出ればいいというのは思考軽視。答えを出す過程が重要。」という反論がある。どうも「問題ごとに正しい解き方が決まっている。それを使うべきで、我流は駄目」という思想があるようだ。
 図1は以前SNSで話題になった算数のテストである。割り算が出来るかどうかを見たければ単純に割り算の計算問題を出せば事足りるのに、わざわざこのような出題にして「21÷7は7の段で求めるのが唯一の正しい方法」ということを教えている。
 「 ホース1.5mの重さが270gのとき1mの重さは? 」を、270÷3=90 90×2=180 としてバツになったケースがある。しかしこれはちゃんと理解している答案である。「授業で小数の割り算を扱ったから」ということで270÷1.5がマルだというのだが、これだと教わった通りに解いただけで実は理解していないかもしれない。
 「答えが出ればいいわけではない」からと、教えた解法のみを正解にするのは、理解している答案をバツ、やり方を覚えただけで理解していない答案をマルという、倒錯した結果になりかねない。
 「3時間で180km進むと6時間でどれだけ進むか?」を180×2と求めてバツになった例もある。180÷3で速さを求めてから、60×3 (※ 60×6の誤り)とするのがマルらしい。これでは、「時間が2倍なら距離も2倍」と理解しているよりも、公式を暗記してそれを使う方が点数が良くなってしまう。教えた解法・公式のみを正解にすることは、思考を軽視し、暗記を助長する結果になる。
 速さなどの単位あたり量や割合、比などは、小学校算数の難所で、中学生・高校生でも理解していないことが多い。「化学」のモル計算を苦手とする高校生は多いが、大抵このあたりの理解が不十分なことに起因する。
 教科書では、速さ=距離÷時間、で速さを定義して、距離=速さ×時間、時間=距離÷速さの公式を提示していている。授業もこれらの公式を覚えさせることが主眼になってしまいがちだが、これがまた大変なようで、図2のような「はじき」で教える教師も少なくない。
 私が塾で教えるときは、公式も速さも教えないで、「6秒で8m進むと、15秒で何m進むか?」と出題する。戸惑うようだと、「何秒で何mになるか分かるのを片っ端から書き出して」とヒントを出す。そうすると大抵、「3秒で4mだから、15秒だと・・・」と気づく。数値を変えて何問かやれば、解法は自然と身につく。「1/3秒で4mなら1秒で何mか?」などとすることで、分数や小数の計算方法を自分で発見することも出来る。「秒速とは1秒間の距離」などは後で教えればいい。私は算数・数学を教える際には、このように公式・解法を教えないで問題を出す。
 ところが小中高含めて、学校の授業ではやり方を教え、それを使って解かせることが多いようだ。その結果、「解法の暗記」が勉強となってしまい、理解が出来なくなる。「掛け算の順序」のように特定の解法のみを正解にすることで、この風潮が助長される。
 しかし、公式・解法を覚えて教わったとおりに手を動かして答えを出すことよりも、試行錯誤して工夫して答えを出す方が面白いだろうし、理解も進む。
 そのような算数・数学指導にするには、まずは「どんな解法でも、正しい答えが出るなら何でもOK」とすべきであろう。

図1

図2 陰山英男「陰山メソッド 徹底反復 算数プリント」(小学館)