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  • 3年:□を使った式

  • 投稿者:積分定数
  • 投稿日:2014年 1月 6日(月)02時46分5秒
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3年:□を使った式 中島繁雄  1980年9月号(No114) から抜粋

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2.子どもの式に対する意識の変容
 第1学年及び第2学年の初期においては、問題に接すると、まず答えに意識がいき求答することに執着しがちである。たとえば、「あひるが15羽池にいます。岡に7羽います。合わせて何羽いるでしょう」と問うと、直感的に22羽と答える。また、子どもが立式する場合、要素の数量そのものに目がいき、要素間の関係を示す演算は、具体的なイメージの中でとらえているに過ぎない。統合を用いても、2項演算の結果を表す意味としてつかっているのがほとんどである。このように、式に対する意識は、要素の数量そのものにあり関係を示す演算に注目するまでには至っていないと考えられる。しかし、第2学年の乗法の学習を契機に、数量の関係に意識がいきだす。「2と3をかけると6になる」という言い方をするが、言語学的であるにしろ関係に着目しているといえる。さらに、第3学年の除法の学習に至っては、「答えと割る数をかけると割られる数になる」と数量の関係そのものを重視するようになってくる。この時期に来て、言語表現の過程を経て関係を意識するようになってくる。
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6.本時の記録
(ア)あきお君は、400円のケーキを10円のはこにつめて買いました。代金はいくらでしょう

T 式をじっくり考えていこうと思います。(ア)の問題をどう考えたかな。ではS1男君。
S1男 400円のケーキを10円の箱に入れて買ったのだから、400+10として答え410円としました。N男君(ママ)

N男 S1男と同じで、400円のケーキを10円の箱につめたということは、それらを合わせることだから、S1男君と同じ式にした。

K男 ぼくも、400+10=400としたんだけど、400円だけなら、箱に入れてもらわないことになるから、ケーキ代に箱代を加えて410円とした。
(410円と板書する)

T ここに、1つの式があるけど、式って何かな。
[数人の子どもが「へぇ」とつぶやく]

S2男 自分の考えを記号に置き換えて短くしたものが式だと思います。

M1子 S1男君のつけ加えで、自分の考えを数字とか+、-の記号とかで表したものだと思う。

T M1子さんのいうには、400、10、410も式の一部ということですか・・・

A子 式というのは、何かの数をたしたり引いたりして、違う数にかわることを表している。

T じゃあ、M1子さんのいったように、400、10、410と+や=が考えを作っているんだね。

C多 そうや[「ハイ、ハイ」と挙手する]

S子 400って1つのケーキのお金のことです。

S1男 10は箱代のことです。

M男 410ってのは、ケーキ代と箱代の合わせたお金のことです。

Y1男 つまり、払った代金のことです。

N子 私は、+という記号の役目をいうんだけど、ケーキ代と箱代を合わせるという合わせることを表していると思います。

M2子 =という記号は、ある品物とある品物とを合わせる代金になると、つないでいるものだと思います。

K子 =というのは、ケーキ代と箱代を合わせたものが410円という代金になった、そして同じという意味だと思います。

T 数字にしろ、+、=にしろ大切な意味があるんだね。今、+や=についてその働きに話が進んできたようだけど、その働きを考えよう。

K男 400と10と410だけやったら、何もつながらなくて、400と10とはどんな関係があるのかを+が教えていて、=は、答えを出す意味がある。

N男 ケーキ代と箱代とを合わせると、それは払う代金とつないでいるのが=だと思います。

T +とか=とかいう記号は、あるものとあるものを合わせるという意味でつないだり、同じという意味でつないだりしているんだね。次の問題では、どうつないでいるかな。


(イ)あきお君は、ケーキを10円のはこに入れてもらい410円はらいました。ケーキ代はいくらでしょう

(ウ)あきお君は400円のケーキをはこに入れてもらい410円はらいました。はこ代はいくらでしょう。


(机間巡視して、Y1男が誤答しているので、ねらいからそれるかもしれないが意図的指名する)

Y1男 10+410=420とした。ケーキ代はさっきと同じやり方で出しました。

O男 ぼくは、Y1男君と違って、410-10=400としたんだけど、10円の箱に入れてもらったケーキ代とで410円になるのだから、410円には、箱代が入っている。

(中略 積分定数注釈 420円としたY1男の考えを誤りとする意見が複数出されて、Y1男も納得することでこの件は一件落着)

I子 (ウ)の問題だけど、410-400=10としたんですが、あきお君は410円払ったんでしょ。その代金410円は400円のケーキ代と箱代を合わせたんだから、箱代を求める式は410-400です。

S2男 みんなに考えてほしいんだけど、僕は足し算でしたんです[「ヘエ」という驚きの中に、数人の子どもが「ぼくも」とつぶやく]410円の代金は、ケーキ代と箱代が合わさったものだから足し算と考えたのです。

T どこが足し算なのかなあ。はっきりさせよう。

Y2男 [400+□=410と黒板に書く]こう書いたんだけど、ケーキ代の400円と箱代を合わしたら、410円になるから、S2男君は、足し算でしはったのがわかります。

T □って、Y2男君は書かはったけど、□って何かなあ。

E男 ふと思い出したんだけど、わり算を勉強した時、たとえば12個のみかんを3個ずつに分ける時、3個の□人分として考えた時と同じ意味で使わはったと思います。

S1男 400円のケーキ代と箱代を加えたら代金の410円になるから、S2男君やY2男君は、箱代を□円として使わはったと思う。

F子 私は、この話し合いを聞いて、(イ)の問題でも、足し算でできるかと考えたんですが、できると思います。

T (ア)の問題は足し算で(ウ)の問題も足し算で考えた人がいます。(ア)と(イ)と(ウ)の問題で似ているところってあるかなあ。

G男 どれも、ケーキ代と箱代と代金から作られているところが似ている。

F男 Y2男君の□を使ったら、どれも足し算でできる。

T この問題にあるケーキ代と箱代と代金とを結びつけてみようか。じゃあ、i男君

黒板に、三本のテープを提示して、子どもに操作させて、テープ図の関係を結ばせる
(i男)
|    ケーキ代     |  はこ代 |

|    代      金                |

I男 どの問題も、ケーキ代と箱代を合わせると代金になるから、このように結んでみた。

H子 さっきのF子さんを付け加えて、I男君のを使っていうと、(イ)の問題も足し算でできます。私は初め引き算でしてたんだけど、(イ)の問題のわからないものは、ケーキ代だから、ケーキの値段を□円にしたら、□+10=410となって、足し算でもできることがわかります。

T □って、わからないものを□にしたらいいんだね。そういうことだね。
N男 ぼくは、びっくりしたんだけど、引き算でしてたんだけど全部足し算でできるからびっくりした。

Y子 私も気が付かなかったんだけど、この3つの問題は、ケーキ代と箱代を合わせたら代金になるという関係で、同じだと言うことがわかりました。

T みんなは、N男君やY子さんのようにびっくりしたかなあ。この問題に出てきたものは、ケーキ代と箱代と代金だったね。数字じゃなくて言葉を使って式に書きますと、
((ケーキ代)+(はこ代)=(代金)と板書する)
このようになるね、言葉を使った式を言葉の式といいます。( )+( )=( )になるように( )に言葉を入れて言葉の式を作ってみましょう。

C多 できるできる[作業紙に取り組み出す]
 子どもたちの作った言葉の式を発表させる。その主な例を挙げてみると、
(ひよこのお金)+(箱のお金)=代金
(ジュースのお金)+(ビンのお金)=代金
(花の値段)+(花びんの値段)=代金
(本の値段)+(カバーの値段)=代金
(かぶとの値段)+(入れ物の値段)=代金

T ちょっと待って、お金の場合ばっかりだなあ。それ以外ではないだろうか。

N子 (お湯の重さ)+(やかんの重さ)=(合わせた重さ)と言えます。

M男 (読んだページ数)+(これから読むページ数)=(全体のページ数)とも言えます。

T たくさんあるね。これらを全部しっておくと便利だね。

O男 これだけも、しんどういわ。

T ((なかみ)+(入れ物)=(全体)と板書する)
このようにまとめてみてはどうだろう。

O男 いい、いい、それでいい。

K子 まとめられる。みんなが出した言葉の式の中で、M男君のはちょっと違うけど、まとめることができます。

T 言葉の式ってたくさんあるけど、(なかみ)、(入れ物)、(ぜんたい)という言葉を使ったら、お金の問題も、重さのも、同じ言葉の式としてまとめられるね。

 授業が終わると、子どもたちは授業の様子をノートにまとめることになっている。あまり発言しない、ずっと聞く立場のZ子のノートを記載する。



 きょう、わかったことは、いくらちがったもんだいでも、もし、きょうのように、(ケーキ代)+(はこ代)=(代金)というように、それぞれのお金の意味がわかると、ひき算しかできなかったと思っていたもんだいでも、たし算でもとめられることだ。それと、□を使うとき、□の意みは、ケーキのねだんとしてつかうこともわかった。
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この授業に対して別の人のコメント
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 この指導は、□を取り入れる場面をとらえて、式の持つ意味について指導しようとしたものである。
 はじめにも指摘されているように、子どもはとかく答えを求めるといった、子どもにとって実利的なことに目を向けがちであって、式の意味そのものを取りあげるということは、この学年段階ではまだ一般に難しいと考えられることであるが、この指導例を拝見して、まず感心させられたことは、その子どもたちがわれわれの予想以上に、大変素晴らしい発言をしていることである。
「ここに1つの式があるけど、式って何かな。」(T)という教師の発問には、さすがに「へえ!!」と言っているが、「自分の考えを記号に置き換えて短くしたものが式だと思います」(S2男)だとか、それに続く、M1子の発言など、大変素晴らしい。3年生でも、こんな発言を次々に出してくれるならば、(あまりうまくいった例を残念ながら見ていない)式の指導も、本当に楽しくやれそうだ。

 こうした授業がやれるためには、教師が、まず式の持つ意味や機能をしっかりつかんでいることが大事なことは当然なことであろう。

(後略)
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