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  • 遠山啓の「一般から特殊へ」の「一般」は数学用語の「一般の位置」の「一般」とほぼ同じ

  • 投稿者:くろきげん
  • 投稿日:2012年10月23日(火)09時22分9秒
  • 編集済
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>>1

遠山啓の「一般から特殊へ」の「一般」は数学用語の「一般の位置」の「一般」とほぼ同じ意味です。
たとえば「一般の位置」については

 平面上の三点が一般の位置にあるならば、それらのあいだを線分で結んで三角形を描ける

のような言い方があります。この場合の「三点が一般の位置にある」は
「三点が同時に一つの直線上にのっていない」という意味です。他にも

 f(z) = 1/(z^2+1) とおく。複素数 z が一般の位置にあれば値 f(z) が定義される

のような言い方もできます。この場合の一般の位置は z^2+1=0 という特殊な条件を
満たさないという意味です。

参考になると思われる解説:
http://en.wikipedia.org/wiki/General_position
http://www.encyclopediaofmath.org/index.php/General_position
http://www.encyclopediaofmath.org/index.php/Point_in_general_position

数学では「一般の」という言葉は「特別な条件を満たしていない」という意味でも
よく使われます。「一般化された場合」とか「任意の場合」の意味と混同したくない
ときには英語で「ジェネリック(generic)な場合」のような言い方をすることがあります。
日本語でも一つの言葉で言えると便利なのですが、良い言葉が見付からない。

遠山啓による筆算をどの順番で教えるかに関する「一般から特殊へ」の主張は
まさに上のような意味での一般と特殊の話になっています。
特別な条件を満たさない「ジェネリック」な場合の計算を最初に教えて、
特別なことが起こっている特殊な場合の計算は後で教えるという話になっている。

筆算に限定すれば最初に一般の(ジェネリックな)場合をやらせるのは
結構合理的だと思います。

行列の対角化について教えるときにも
固有値がすべて異なるジェネリックな場合を先にやって
固有値に重複がある場合は後にまわすのが普通です。
ジョルダン標準形は特殊な場合にしか出て来ないのでさらに後回しになる。

ジョルダン標準形の理論は対角化の理論よりも一般的なのですが、
対角行列ではないジョルダン標準形が出て来るのは特殊な行列だけなので、
ジョルダン標準形の理論に進むことは「特殊な場合も含めた理論」をやることに等しい。
だからジョルダン標準形の話を後回しにすることは「一般から特殊へ」の典型例になっています。
(対角化できない複素行列全体の集合の測度は0になります。)

問題が起こるとすれば「水道方式」の権威によって
「一般から特殊へ」の行き過ぎた適用が起こっている場合なのですが、
そういう事例があるかどうかについてぼくはよく知りません。